事例紹介

渡邉製本株式会社事業内容:学術書・辞典・美術書・大学教科書・一般書籍などの書籍製本
従業員数:11名
所在地:〒116-0014 東京都荒川区東日暮里3丁目4番2号

左:専務取締役 渡邉 彰子氏 右:開発担当(娘) 河合 枝里子氏

左:専務取締役 渡邉 彰子氏
右:開発担当(娘) 河合 枝里子氏

道場参加の理由

従来の発想を脱却した製品を開発したい

渡邉製本株式会社は、昭和21年の創業より75年余り、一貫して書籍の製本を手がけて来た。先代から受け継いだ書籍製本の知識に新たな技術を加え伝えることにより、様々な製本経験と実績を有している。

当社は、長い間辞書等を作ってきた会社ですので丈夫に製本するのが得意ですが、出版不況で年々受注が減少していました。紙のデジタル化が進んでおり、ずっと同じやり方では会社が続かず、製本だけだと顧客の取り合いになるといった危機感がありました。会社存続には、出版不況に左右されない製品を自社開発し、新たな収益の柱に育てる必要があると考えました。
そんな中、自社製品としてオリジナルノートを開発・販売してきましたが、既存の製本技術から脱却することができず、当社の技術を活かしながら従来の発想を脱却した違ったものを開発したいと考えていたところ、別の商談会で道場のOB企業の方から事業化チャレンジ道場について詳しくお伺いする機会を頂いたのがきっかけで道場に参加することにしました。(渡邉専務)

左:専務取締役 渡邉 彰子氏 右:開発担当(娘) 河合 枝里子氏

左:専務取締役 渡邉 彰子氏
右:開発担当(娘) 河合 枝里子氏

作った製品

「想い出ファイル」えぽっけ

絵も思い出も、ぽっけにずっと。
「えぽっけ」は、どんな紙に描いた絵でも、丁寧にしまっておけるポケットフレームです。
● 使い方、かんたん。
● 紙だから、フチまでのびのびお絵描き。
● お子様はもちろん、大人の方にも。
● 取り外せるから、飾ったり、贈ったり。

POINT.1 見返して、家族の会話と笑顔ひろがる
「毎晩いっしょに寝ていたぬいぐるみだね」「じいじとばあばの似顔絵、特徴つかめてる」
本のようにめくって見返して楽しめるので、みんなで育てた思い出をシェアできます。

POINT.2 増やしたり分けたり、暮らしにあわせて
ゴムバンドでとじるだけなので、差し込むのも取り外すのもカンタン。
順番の入れ替えや、表紙やポケットフレームを追加して増やしたり分けたりすることもできます。

POINT.3 八つ切り画用紙から、小さな落書きまで
図工で使われることの多い八つ切り画用紙サイズまで入ります。
フィルムがあるので、小さい落書きや折り紙、アイロンビーズなども落ちる心配がありません。丸まったり折れ曲がったりすることなくきれいに作品をしまえます。

モックアップと1次試作 「服薬支援装置 MediRack-ioT」
道場での学び

ものづくり目線からビジネス目線に変換するという講義内容は難しく、全部吸収できたかというとできていないと思っています。
しかし、広い視点で製品コンセプトを俯瞰し、ブラッシュアップする過程を経ることで、事業化に必要な考え方を学ぶことができたと思います。
メーカーとしての視点だけでなく、ユーザー視点・ビジネス視点で製品のターゲット・シーン・ベネフィットを洞察する重要性が理解できました。
また、日々の業務をこなしながらの新製品開発・新規事業の立ち上げだったため、時間を確保することが大変でしたが、得るものは多かったと思います。
量産化前の最終試作レベルの段階で展示会に出展できたことはとても大きかったです。途中で一旦は製品が完成したつもりでおりましたが、展示会でのモニタリングや実演を繰り返す中で多くの課題を見つけることができ、製品仕様に反映させることができました。バイヤーや顧客から生の声を聞くことで、どういったニーズがあり、いくらぐらいの価格帯にすれば売れるのか、どの程度のコストダウンが必要なのか、などを具体的に知ることも出来ました。(渡邉専務)

今後の戦略は?

これから国内外に向けて、公社の販路開拓支援などを活用しながら 、『えぽっけ』の魅力を発信していく予定です。 広く『えぽっけ』のコンセプトを伝え、共感していただくために、ひとつひとつのPR機会を大切にしています。今後も『えぽっけ』を伸ばしていくために、今まで以上に社長や従業員も巻き込んでいきたいと考えています。

道場で新製品のアイディア出しをする過程で製品コンセプトのブラッシュアップが進み、コンセプトを共有しつつも新しい仕掛けの新製品のアイディアを思いつきました。
『えぽっけ』の事業化が順調に進んでからになりますが、今後事業化を進めていく予定です。
ギフトショーに出展した前後から、社員が興味を持ってくれるようになり、良い相談相手になってくれました。次の新製品の開発では、社員を積極的に巻き込みながら事業化を進められればと考えております。
紙のデジタル化が進む中、出版・印刷・製本は業界自体が縮小していく見込みで、既存の製本事業だけでは会社を維持できなくなる時代が来ると思います。
紙でしかできないことや、手作業による製本の良さなどを評価する声も多いため、一定の需要は残ると思いますが、当社としても、新しい需要を創出するための新製品開発は今後も必要と考えております。
製本技術で対応できる領域は広いと考えており、本以外にも色々と応用が利く技術であることを積極的に発信していく必要があると考えております。
道場で「えぽっけ」の開発・製品化を進める中で、当社の強みである製本や紙に関する業者間のネットワークの価値を再確認することができました。当社は、新製品を継続的に開発できる仕組みを構築することでブルーオーシャンを積極的に創造し、業界を盛り上げる存在になりたいと考えております。(渡邉専務)

会社概要

参加者名 専務取締役 渡邉 彰子 氏
開発担当 河合 枝里子氏
経営者の参加なし
資本金1,200万円
TEL03-3802-8381
URLhttp://www.watanabeseihon.com/